みそさざいの囁き(浅木ノヱの季語のある暮し)

生活の中に詩を、俳句を。季語のある暮しを楽しみます

2024-01-01から1年間の記事一覧

啓蟄  2024.3

また呼んでゐる啓蟄の庭の夫 ノヱ 季節の到来が他より遅い我が家の庭も、雨が上がると急にあちこちで春が頭をもたげてくる。3度目の冬も元気に越せたようた。楊貴妃メダカが水面に姿を現した。植えっぱなしのチューリップが行儀よく芽を出した。その発見が…

若布干す

若布干す若布に頰を打たれつつ ノヱ 浜小屋の一番乗りはおばあさん。小さなコンロの薬缶が湯気をたてはじめるとおじいさんと、だんだん家族が増えてゆき、沖から軽やかな音を立てながら船が戻ってくる頃になると、家族総出の若布干しがはじまる。 慣れた手つ…

四日

大漁旗四日の富士を埋めけり ノヱ 1月4日は腰越漁港の船祝いです。雲一つなくはれ上がった空に、真っ白の富士山が聳えます。漁船には極彩色の大漁旗が飾られ、緩やかに揺れています。船出を待つひととき、漁によって黄金が返ってくるようにとの思いをこめて…