みそさざいの囁き(浅木ノヱの季語のある暮し)

生活の中に詩を、俳句を。季語のある暮しを楽しみます

2023-01-01から1年間の記事一覧

極月

湘南の空師 極月の日差し大事につかひけり ノヱ 12月と聞くだけで、心急く思いがしてきます。ことにお天気が良い日には、あれもこれもと、しなければならないことが満載(のような気がするの)です。 つい先日、近くの家で、3人組が椰子の古葉を取り除く作業…

障子貼る

切貼りの障子夕闇濃くあはく ノヱ 今年の障子は切り貼りで済ませた。やっと貼り終えた障子を見ると、 早くも夕闇が迫ってくる。切り貼りの花が様々な色を見せ、 夕映えの障子は刻々と色を変える一枚の絵となる。 (切り絵歳時記 小出蒐作品集より https://ki…

豊の秋

立ち上る酢の香在所の豊の秋 ノヱ 10月28日は故郷の秋祭です。 前日から台所はフル回転。祭の馳走は近隣の親戚にも重箱に入れて配ったものです。 とりわけ特別なのは「ぼうぜ」と呼ばれるいぼ鯛を背開きにした姿鮨。収穫を終えた酢橘を入れたすし飯を塩を振…

第28回夢二忌俳句大会

榛名湖畔を望む夢二のアトリエ 榛名山麓の花野 9月1日は竹久夢二の忌日、花野忌です。毎年この時期になると湖風が、松虫草のむらさきが無性に恋しくなるのが不思議です。 今年は前泊なしの当日参加のみ。湖の風も、日差しもまだまだ残暑の真っ盛りではありま…

かぶと虫

ひつぱれる糸まつすぐや甲虫 高野素十 隣の少年、虫が大好きだけあって、虫を見つけるのが大得意だ。ある日、大事そうに見せてくれたのが広町緑地で捕まえたというかぶと虫。 そう言えば、昔からかぶと虫は虫の王様、持ち主はヒーローだった。「ちょっとだけ…

夏空

鎌倉高校前からのぞむ相模湾 洗濯機より息子の夏を抱へだす ノヱ 長男がサッカー、次男がテニスに明け暮れた十年あまりは毎日が洗濯と食事にづくりに追われていました。夏の一日を満喫した証のような、燃え盛るエネルギーそのもののような汗と泥にまみれた洗…

でで虫

伯母のきものを利用した手作り四つ目綴じ本 一昨日からの雨がようやく止み、午後からは青空がひろがっています。 5月30日(火)ひらしん平塚文化芸術ホールにおいて、第1回俳人協会神奈川県支部俳句大会が開催されました。たくさんの名句、好評に出会い…

新緑

切絵:小出蒐 新緑や風に梳かせる旅の髪 ノヱ 早朝の谷川に沿って歩く。鳥の声やせせらぎに耳を澄ませ、新樹のかおりを胸に満たすと、体中の細胞が息づいてくるのがわかる。新緑の風が髪を梳くように吹き抜けてゆく。前へ前へと確かな足取り、高く上がった太…

花の駅発つ子ふたたび振り向かず   ノヱ

丸ポストは鎌倉のシンボル(極楽寺) 一度大きく手を振ると改札を足早に通り抜けていった息子は、もう二度と振り返ることはなかった。社会人としての新しい生活への不安よりもさらに大きな期待に胸をふくらませて踏み出した息子の一歩。「これでいいのだ」と…

雛祭

母の手づくりの内裏雛とわが古雛 生家では毎年3月3日にひな人形を飾り、ひな祭を祝うのは4月3日です。南国・徳島とは言え3月の初めはまだまだ寒く、桃や菜の花が山里を飾るのは4月になってから。雛祭も旧暦で行うほうが、より季節感を味わえるような気…

筆供養

荏柄天神社 筆供養 1月25日は初天神、三大天神のひとつである鎌倉・荏柄天神社では筆供養が行われます。例年なら先駆けの紅梅の満開の下に開催されるのですが、今年の梅はまだちらほら咲き。まして10年ぶりの寒波襲来ということで、人出もそれほどではありま…

寒稽古

切絵:小出蒐 高校時代は全国大会に出場したこともある弓道少女でした。 1月に開かれる射初式や寒稽古は、身の引き締まる寒ささえどこか心地よく、普段とは異なる緊張感や華やかさに心を躍らせました。大先生の模範演技の老いを感じさせない気迫、紫の小袖を…

みそさざい

七里ガ浜の初日と江の島 コロナ禍真っ最中の長男夫婦は帰宅せず。次男は書棚から古い文庫本の「雪国」を見つけ出してきて、読んでいます。静かで、あたたかな元日でした。 2023年1月号をもって、結社誌の編集業務を離れました。これからは東京に出ることも少…