みそさざいの囁き(浅木ノヱの季語のある暮し)

生活の中に詩を、俳句を。季語のある暮しを楽しみます

雛祭

母の手づくりの内裏雛とわが古雛

 生家では毎年3月3日にひな人形を飾り、ひな祭を祝うのは4月3日です。南国・徳島とは言え3月の初めはまだまだ寒く、桃や菜の花が山里を飾るのは4月になってから。雛祭も旧暦で行うほうが、より季節感を味わえるような気がします。

 結婚するとき持っていくものだから、小さいけれど三人に一つずつと言われてきた小さな御殿飾の雛人形は、その小ささゆえに、幾度の引越を経て今もなお飾ることができています。

 幼かった息子が「おかあさん、どうしてうちにひな人形があるの? 女の子がいないのに」「おかあさんも昔は女の子だったのよ」と私。「ふうん、そうなんだ」

 御殿の飾りも、五人囃子の御道具も、かなりあやしくなっていますが、時を経た色合いは目にやさしく、古家にもしっくり馴染みます。

 

ひなまつり息子の知らぬ母のあり  ノヱ