みそさざいの囁き(浅木ノヱの季語のある暮し)

生活の中に詩を、俳句を。季語のある暮しを楽しみます

花の駅発つ子ふたたび振り向かず   ノヱ

丸ポストは鎌倉のシンボル(極楽寺

  一度大きく手を振ると改札を足早に通り抜けていった息子は、もう二度と振り返ることはなかった。社会人としての新しい生活への不安よりもさらに大きな期待に胸をふくらませて踏み出した息子の一歩。「これでいいのだ」と胸をなでおろしつつ見上げる桜・・・。かつて進学のため上京する故郷の駅での父の姿が思い出される。あの駅の桜の大木は今も健在と聞く。

成就院から望む由比ガ浜