みそさざいの囁き(浅木ノヱの季語のある暮し)

生活の中に詩を、俳句を。季語のある暮しを楽しみます

夏空

         鎌倉高校前からのぞむ相模湾   

洗濯機より息子の夏を抱へだす ノヱ 

 長男がサッカー、次男がテニスに明け暮れた十年あまりは毎日が洗濯と食事にづくりに追われていました。夏の一日を満喫した証のような、燃え盛るエネルギーそのもののような汗と泥にまみれた洗濯物の山、一日中洗濯機がうなり声をあげていたような気がします。

 そんな母の強力な味方は燦々と照り付ける太陽と青い空。大空から取り込んだ洗濯物のにおいは、あわただしくも満ち足りた家庭のにおいであったと、夫婦二人となった今、なつかしく思い出されます。

 あと十日もすれば梅雨も明けるでしょう。今月の末には、長男の結婚式です。

*掲句、第二三回「俳句四季」全国俳句大会にて夏井いつき賞を受賞。七月七日に授賞式があります。