みそさざいの囁き(浅木ノヱの季語のある暮し)

生活の中に詩を、俳句を。季語のある暮しを楽しみます

豊の秋

立ち上る酢の香在所の豊の秋 ノヱ 

 10月28日は故郷の秋祭です。

 前日から台所はフル回転。祭の馳走は近隣の親戚にも重箱に入れて配ったものです。

 とりわけ特別なのは「ぼうぜ」と呼ばれるいぼ鯛を背開きにした姿鮨。収穫を終えた酢橘を入れたすし飯を塩を振り酢で締めたぼうぜ(ときに鰺)で包み、さらにその上に輪切りの酢橘を飾ります。当時はご飯の量が多くて食べにくかったのと、大きな魚の目がこわくて好物ではありませんでしたが、秋も深まり少し肌寒くなってくると無性に食べてみたくなります。

 ちょうど姉から、無農薬という名の自然のままの種多き酢橘が届いたので、一口サイズの鰺で作ってみました。

 秋刀魚、土瓶蒸しはもちろん、漬物、豆腐、鍋、紅茶、焼酎・・・何にでも酢橘を入れて楽しむ徳島県人なのです。

 

*今月の俳人協会のカレンダーに拙句が掲載されています。

新妻を荷台にのせて豊の秋 ノヱ